東京は花見シーズンのようですね。テレビを見て、長野県民の私も花見に行こう!と思って外に出たところ、まだ梅さえも開花しておらず、がっかりした江田です。
今日は国際科学技術財団でいただいた助成金の成果を報告します。
私のテーマは「長野県の半自然草原に生息しているチャマダラセセリの保全・保護に関する生態学的研究」です。
今回、「チャマダラセセリの飼育方法について」の論文を信州大学環境科学年報に提出しましたd(⌒o⌒)b
まだ、受理されていませんので、概要のみを報告します。
・チャマダラセセリはちゃんとした飼育方法はあまりない。
・そこで、色々な飼育方法を試して、一番よい方法を模索してみました。
☆野外での網掛実験
天敵を除去するために、卵に網掛をして野外で観察しました。
しかし、卵から孵化した幼虫はすべて行方不明となってしまい、網掛は適切ではないと判断しました。
☆採卵実験
1メスからより多くの受精卵を確保するために、色々装置を作りました。
最初は食草を入れた水槽に母蝶を入れて、ゴースをかけました。
ゴースは母蝶が天井付近を歩いて、食草にたどり着けるように設置しました。
しかし、母蝶は水槽の中を歩き回ってしまい、産卵してくれませんでした。
そこで、ゴースをガラス板に変更しました。そして、思い切って上から白熱電球を当てました。
これは昆虫の世界で強制産卵装置「リシャール法」と言います。
ライトの明るさと熱で、産卵刺激になるという半面、母蝶が痛むというリスクがあります。
母蝶が弱ってしまうのでは?と心配しましたが…モリモリ産卵してくれました!!
1メスで110卵を採卵することができました!
これは今までの報告の中で最も多い採卵の成果であるといえます。
☆プランター飼育
得られた110卵を使って、プランターで集団飼育したところ、45蛹を得ることができました。
そして、実験室で越冬させて、翌年に放蝶することができました。
☆室内個別飼育
25℃と20℃と一定条件のもと、卵から個別飼育しました。
その結果、20℃では47.1%、25℃73.3%が蛹化しました。
☆幼虫の営巣観察実験
2013年に採集した6卵中、5個体が正常に孵化しました。
蛹になったのは4個体で、卵からの生存率66.7%でした。
幼虫期間における巣の移動回数は、平均4.25回で、個体により最大6回、最小3でした。
平均13日に1回のペースで巣を移動していることが分かりました。
去年はチャマダラセセリがほとんど見れずにあまり実験ができませんでした。
よって、チャマダラセセリは今年度から長野県の保護計画策定の指定種になるようです。
つまり、長野県が本気でチャマダラセセリを守ることにした!ということです。
これも助成の成果といえるでしょう!
これからもチャマダラセセリを見守っていきたいと思います。
国際科学技術財団から助成していただいたことをきっかけに、チャマダラセセリの保全が進むよう研究を進めたいと思います。
国際科学技術財団と関係者の皆様、今まで本当にありがとうございました(〃^∇^)o_彡
助成期間は終わりましたが、私はブログで発信し続けたいと思います。
これからもよろしくお願い致します。
江田慧子
チャマダラセセリ復活の裏には、江田先生の活躍があった事を我々はわすれませんよ。。
返信削除今後も、長野からのブログアップを楽しみにしています。
>中原さん
削除チャマダラセセリはまだまだこれからです!野外で個体群が復活しないと意味がありません。
そんなまだまだ成果の出ない研究に対して、助成していただき本当にありがとうございます!
あまり成果が出なかった分、これからもブログで発信して、少しでも社会へ還元していきたいと思います!
これからもよろしくお願いしますね☆
先生ってPR上手だなぁ。感心します。たいしたもんだ。
返信削除暖かくなりチョウの季節になりましたね。頑張ってください!
>小倉さん
削除いやいや、あなたには負けますよw
今年もチョウを使って色々企画を考えて行きたいと思います!
バリバリ研究して、ジャンジャン発表していきますので、応援してにゃっ